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2020年09月08日

第23回文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門 受賞作品上映会(一部 ユニバーサル上映)

お知らせトップページに表示企画上映2020年9月

9月26日(土)27日(日)
第23回文化庁メディア芸術祭
アニメーション部門 受賞作品上映会(一部 ユニバーサル上映)
=完全予約制・入場無料=

文化庁メディア芸術祭はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバルです。当館(CINEMA Chupki TABATA)は、サテライト会場として、アニメーション部門の受賞作品を一部、ユニバーサル上映いたします。

主催:文化庁メディア芸術祭実行委員会  
◆詳しくはWEBサイト:https://j-mediaarts.jp

<新型コロナウイルス感染拡大防止対策に関するお願い>

第23回文化庁メディア芸術祭 受賞作品上映会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の為、サテライト会場となるCINEMA Chipki TABATAのガイドラインに沿って、ご来場の皆さまが安全にご鑑賞頂けるよう対策を実施いたします。
感染拡大防止のため、下記ページの「お客様へのお願い」についてご同意いただいた上で、ご予約をお願いいたします。
ご来場の際は、感染拡大防止対策についてご理解・ご協力をお願いいたします。

■ 新型コロナウイルス感染防止対策について
https://chupki.jpn.org/archives/5862

◆ご予約の方法

完全予約制となります。下記、いずれかの方法で、ご予約をお願いいたします。

・予約サイト:https://coubic.com/chupki
・電話:03-6240-8480
・店頭にて

◆ 上映スケジュール

●9月26日(土)
13:00〜/14:00〜/15:00〜/16:00〜/17:00〜

●9月27日(日)
13:00〜/14:00〜/15:00〜

<短編プログラム>
新人賞『浴場の象』CHENG Jialin[中国]約4分(イヤホン吹替ガイド・日本語字幕付き)
優秀賞『Nettle Head』Paul E. CABON[フランス]約14分(イヤホン吹替ガイド・英語字幕付き)
優秀賞『ある日本の絵描き少年』川尻 将由[日本]約20分(イヤホン音声ガイド付き・日本語字幕付き)

クービック予約システムから予約する

●9月27日(日)
16:00〜17:51(終映)

<長編プログラム>
大賞『海獣の子供』渡辺 歩 [日本]111分(イヤホン音声ガイド付き・日本語字幕付き)

クービック予約システムから予約する

◆ 受賞作品

第23回 アニメーション部門 大賞
『海獣の子供』劇場アニメーション
渡辺 歩 [日本]

作品概要

五十嵐大介の長編マンガ作品『海獣の子供』を原作とした劇場アニメーション。主人公は海辺の町に住む中学生の少女、琉花。彼女が夏休みに出会ったのは、ジュゴンに育てられた海と空だった。超人的な能力を持つ2人は、原初の生命を海の底で再び誕生させるための「祭」の鍵を握る存在。あらゆる海の生命が集うこの「祭」の参加者に選ばれた琉花は、数多の生物とともに壮大な奇跡を見届けることになる。本作は、手描き作画と3DCGを高度に組み合わせることで制作された。手描きの線による有機的な動きが、登場キャラクターや、雨や波などの自然現象に強い生命力を与えている。一方で、3DCGのアニメーションは海洋生物を中心に使用、作画監督が描いた線を忠実にトレースするため、カットごとにモデルを調整するなど、手描きに近づけるための膨大な労力が投入されている。手描きでしか実現し得なかった表現の領域に、3DCGを限界まで近づける努力によって、原作の生き生きとした線の力を余すことなく映像化した。観客と等身大の少女である琉花を巻き込んでいく、人知を超えた大きな力を、膨大な技術の蓄積で動かすことにより、新たな領域の視覚表現を実現させた。

贈賞理由

冒頭から水のきらめきに目をひかれる。水に加えて光の描写が美しい。原作のソリッドな絵柄を再現しつつ柔らかに動かすアニメートは全編素晴らしい。開放的な夏の描写に対しての主人公の閉塞感に「温かなのに冷たい」という感覚を覚え、それがすなわち「海」の中での体感への導入なのだということに気がつく。振り返ってみるとあらゆる描写が「海」へ導かれている。それゆえに海と空がひとつながりに続いているような、それこそ宇宙を感じる瞬間が度々あった。本作では原作と異なり、主人公視点にしぼったがゆえに2人の少年は謎の存在となり、躍動する彼らへの主人公の憧れを描くことで、より後半への驚きを増す。観客に解釈をゆだねる後半の展開にはいろいろと意見はあるだろうがここまで見る者の感性に訴える長編作品というのは滅多にない。正直良いものを見させてもらったなあという思いが勝った。全員一致で大賞に決定した。(佐藤 竜雄)

第23回 アニメーション部門 優秀賞
『ある日本の絵描き少年』短編アニメーション
川尻 将由 [日本]

作品概要

マンガ家を目指す男の半生を、実験的な手法で描いた短編アニメーション。絵を描くことが好きな少年・シンジは、自然とマンガ家を目指すようになる。小学生になると、同じく絵が好きだが覆面レスラーばかり描く不思議な少年・マサルと出会い、やがて親友に。しかし学年が上がるにつれ、2人は徐々に疎遠になっていく。その後もシンジは変わらずマンガ家を目指し、美術大学に進学。新人賞に入選したことをきっかけに上京し、やがて大きなチャンスをつかむ。しかし、待ち受けていたのは思い描いていたマンガ家生活とは異なるものだった。30歳になったシンジは久しぶりに、昔と変わらず絵を描き続けるマサルの作品に触れる。この一連の流れが、シンジの母親のモノローグも交えて語られるモキュメンタリー。主人公の成長に合わせて、作中の作画もチラシへの落書きといった子どもが描くような絵から、マンガの原稿用紙に描かれた絵へと変化し、時間の流れが表現されている。

贈賞理由

絵が上手くて誉められて、それがきっかけでマンガを描く自分がある時気がつく。自分に描きたいものは無かった――子どもの頃にこの事実を突きつけられて筆を折った人も多いだろう。自分がそうだ。自身の成長と絵柄を重ね合わせた描写にそんな過去の痛みを抉られてついつい感情移入して見入ってしまった。主人公の繊細な心の揺れや彼の生きている時代や文化、美大でさまざまなジャンルの学生たちが集う様子をとにかく絵柄で表現するという一点突破なアイディアが素晴らしい。周囲の友人が「卒業」して主人公の目の前でどんどん絵柄が変わっていく様子がとりわけ秀逸。目の前にいるのに違う世界に行ってしまった感がそれだけで表現されている。それゆえに表現者としての主人公がモノクロの実写になってしまったのは空っぽさを感じさせて辛かった。変わっていく者と変わらない者の対比が明確に端的に表現され、さらにはあたたかな未来の予感さえ感じさせる、幸せな20分。(佐藤 竜雄)

第23回 アニメーション部門 優秀賞
『Nettle Head』短編アニメーション
Paul E. CABON [フランス]

作品概要

ある少年の恐ろしい体験を描いた手描きの短編アニメーション。バスティアンは友人2人と自転車で出かける。たどり着いたのは、廃棄された機械やイラクサで埋め尽くされた、立ち入り禁止の廃墟。友人の一人は、バスティアンを試すように「フェンスを越えてしまうと、後戻りできない」と告げる。バスティアンが足を踏み入れると、そこには有毒なガスが蔓延しており、得体の知れない無数の黒い手が襲ってくる。友人たちが見守るなか恐怖と戦い、最終的に打ち勝ったバスティアンは、以前よりも自信に満ちた面持ちで2人と合流する。少年が立ち向かった、ミステリアスで奇妙、そして恐ろしい存在を表現すべく、全体に抑えた色調と不気味な効果音によって物語は描かれる。故郷であるフランスのブレストで友人らと絶壁から水中に飛び込んだという若き日の作者自身の体験を基に、イマジネーションにあふれた少年期の世界を伝える。

贈賞理由

子どもから大人になるための通過儀礼を、荒々しい線と毒々しくも美しい色合いで表現している。一見するとがさつな線は、思春期のとげとげした不安定さをよく表しているし、その荒々しさにもかかわらず、少年とそれを追いかけてくる変な「手」との揉み合いの描写では私たちの生理的な部分にまでヌメッとした触感の気持ち悪さで迫ってくる。荒さと滑らかさの共存が不思議と成立している奇妙な作品である。そして、もがき苦しみながら生まれ変わって現実世界に戻ってくる彼を、とうに大人になった(はずの)私たちは、安全なモニターの前で青春の甘酸っぱさやとげとげしさを懐かしみながら眺めているが、彼らのようなイニシエーション(通過儀礼)を経験せずに大人になってしまったことを忘れて、余裕ぶって観ている「仮大人」なんじゃないか。そんなことを感じさせる作品でもある。仮大人から優秀賞を差し上げます。(和田 淳)

第23回 アニメーション部門 新人賞
『浴場の象』短編アニメーション
CHENG Jialin [中国]

作品概要

幼い頃に浴場で出会った、黒い象についてモノローグ形式で語られる作品。描かれるのは90年代後半の中国、工場が多く立ち並ぶ町の一角にある労働者のための浴場。ある日、いつものように母に連れられて浴場へ行った少女は、そこで小さなアリほどの大きさの黒い象を目にする。それ以来、浴場を訪れるたびにその象は少しずつ大きくなって少女の前に姿を現すのだった。時の流れとともに、その象が大きくなるのに対し、少女の住む町の建物や工場は取り壊されていき、ついには通っていた浴場も閉鎖されてしまう。手描き風のラフな線とカラフルでありながらも優しく淡い色調で、一昔前の浴場の空気感を、黒い象という曖昧な存在とともにノスタルジックに伝える。

贈賞理由

浴場という着眼点にひきつけられた。そこは人々が心も体も裸になる場所である。裸の大人たちの雑踏の中で少女が感じているもの、見つめているものが、手描きならではの自由な表現で画面いっぱいに生き生きと描かれておりセンスを感じた。特に、少女と象や大人たちとの大きさを比較させているアニメーション表現が良かった。少女が見つけた小さな象が何だったのか、見る側に委ねられているが、ある種の怖さもあり、淡々としたナレーションに、冷静に社会や人々を見つめている姿を感じさせ、作者の力と将来性を感じた。(横須賀 令子)

 

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