『風は生きよという』小田政利さん、宍戸大裕監督 舞台挨拶

『風は生きよという』小田政利さん、宍戸大裕監督トークショー
2/3(土)、4(日)、11(日)上映後に映画出演者の小田政利さんを。また、2/10(土)、12(月・祝)は宍戸大裕監督をお迎えしてトークショーを開催致しました。
※小田さんは2/3、4を、宍戸監督は2/10の模様を記載致します。

ゲスト:小田政利さん宍戸大裕監督
進 行:進 多賀彦…CINEMAChupkiTABATAスタッフ(-)

【お客様の感想】
・人工呼吸器は重いイメージがあったが、環境と身体が安定していればどこでも普通に使えて、いろんなところに行けることが分かった。
・色々なドキュメンタリー映画を観てきたが、飾らず自然で、明るいところがいい。感動した!
・呼吸器や、様々なサポートを必要としている人が周囲に普通にいて、また普通に生活している事。もっと色々な人に知って欲しい映画。
・色々な人の助けを特別な事とは捉えずに、もっと普通に行える社会になっていけばいい。例えばいじめで生きるのが嫌になって自殺したい子どもがいる。このように頑張って生きてきたけど、サポートがないと生きていけなくなる人がいる。そのような人に観て欲しい映画。

小田政利さん
【お客様から小田さんへの質問】
Q:どのようなお仕事をされてますか?
A:劇中の海老原宏美さんと同じです。従来「人にお世話をしてもらわなければならない存在」として、親元で保護され、親亡き後は施設で管理されてきた人たちも『生まれてきたからには、自分の生き方を選ぶ権利がある』という意思の元「障害を持つ人の生活について一番の理解者は障害を持つ当事者だ」ということで、自分たちが生きてきた中での様々な経験や知識を同じように障害を持つ人たちに伝え、その経験や知識が他の障害を持つ人の社会参加に役に立つ。そのようなサービスを障害種別を問わず提供しています。
僕は地元が東京都北区なので自立生活センター・北にいます。また映画でもありましたが、家庭訪問や、小学校等で公演、十条駅の近くの大学で車椅子の体験学習を行ったり、色々な活動をさせていただいてます。事務所の場所は同じですが、在宅で障害のある方へのヘルパー派遣『NPO法人ピアサポート・北』の理事長をさせていただいてます。そしてもうひとつ、人工呼吸器を使用していても地域で当たり前に暮らせる社会を実現するためのネットワーク『呼ネット(こねっと)』の代表もさせていただいていまして、そこの副代表には海老原さんになってもらってます。

Q:映画ができるきっかけは?
A:言い出しっぺは僕です(笑)呼ネットの活動の一環で「呼吸器を使っている人たちの生活を描いた」ものを求めてました。あえて呼吸器を知らない人に制作してもらったほうがわかりやすいものができるかなと思い、上位団体である全国自立生活センター協議会に関わりのあった宍戸監督が紹介され、お願いすることになりました。
呼ネットでは、いろんな人に「(映画に)出てもらおうね」って言ってたんですけど、1/3ほど海老原さんが出てまして(笑)まぁ素敵な人なんでそういうのもありかなと思いましたけど、僕も自宅まで監督が来て3~4時間撮ってくれたんですけど、出来上がったのを観ると、仏壇の母親の遺影だけ使われてました(笑)監督は映画をつくる過程を見せてくれないんですよ。しかも「小田さんはカメラ向けるとつまんないから。」って言われました(笑)一方、海老原さんは主演女優になってしまいましたから全国あちこち呼ばれてて…海老原さんと私は酒好きで、よく一緒に飲んでましたけど、最近会ってないのでさみしい限りです(笑)
また、音楽の末森樹さんは、本編で流れる音楽を、海老原さんをイメージした曲だと言っていました。

宍戸大裕監督
【お客様から宍戸監督への質問】
Q:この作品を撮るようになったいきさつは?
A:映画に出てくる海老原さんや小田さんも所属しているCILの全国組織、全国自立生活センター協議会(JIL)の方から声を掛けてもらったのがきっかけです。僕は10年前、学生時代にJILの人たちにはじめて出会って、その時期※障害者自立支援法が大揉めに揉めたことがありました。利用者の自己負担を増やそうという厚生労働省の動きがあったために全国の障害者が反対した運動で、そこに関わったのがきっかけでした。
※【障害者自立支援法】障害の種類(身体障害・知的障害・精神障害)にかかわらず、共通した福祉サービスを共通の制度により提供することで、障害者の自立支援を目指す法律。サービスの提供主体は市町村に一元化。2005(平成17)年制定、翌年施行。(参照元:コトバンク)

2007年に、東京の高尾山にトンネルを通す計画があることを知りました。自然豊かな山で、22年あまり反対運動が続いてました。それを何とかしてドキュメンタリーで伝えられたら、ということがビデオカメラを持つきっかけです。それと自立生活運動と出会ったのが同じ時期だったんですよね。その後いろんなつながりがあって、人工呼吸器を使っている人たちの話を伝えれらないかという相談を頂いて、この映画をつくりはじめました。

Q:他の方はなかなか自分の意思を自分のことばで伝えられない中、海老原さんの言葉がすごく力強く感じ、彼女の存在がこの映画のキーワードになるのかなと感じました。呼吸器ユーザーの皆さんは日常どのように暮らしていらしゃるのか、もっと詳しく教えてください。
A:映画に出演されているような人工呼吸器ユーザーは珍しいと思います。今、全国で2万人以上の在宅呼吸器ユーザーがいらっしゃいますが、病院や施設のベッドで過ごしている方が多いと思います。僕自身も映画の上映を通してそういう方々と出会ったんですが、全国には各県ごとに療養病院があって、そこでは小田さん、海老原さんと同じような障害の方で20年30年と暮している方もいます。
障害が軽くても、その地域に訪問看護やヘルパーの担い手がなければ、病院や施設に居ざるを得ない状況が一方にあるので「都会だからこういう生活ができるんでしょ?」と言われることもあります。でも、渡部哲也さんの場合は、冬は豪雪の北海道の都会から比べれば僻地と思われるようなところに住んでいらっしゃいますが、それでも自分でこういう生活をしたい!ということで市と交渉して
※※自薦ヘルパー制度を利用しています。この制度は全国どこでもできるんですけどそこまでたどり着くにはよほどの強い、めげない気持ちがないと難しいなぁと感じることもあります。
※※【自薦ヘルパー(パーソナルアシスタント)制度】事業所がなくても、自分で事業所をつくり、所長となってヘルパーを雇うことができ、事業に対して助成金が出る制度(参照元:日本財団図書館)

小田政利さん
【小田政利さんより】
この映画を以前渋谷で上映したとき、相模原の障害者施設殺傷事件がありました。当時「コミュニケーションが取れない障害者」等色々な言われ方をしました。本編に出演されてますフリーライター児玉真美さんの講演で、児玉さんのお子さんが「この子はこの子なりに社会を理解し、ものごとを発信している。」この子のこう言うことをどうキャッチしたらいいんでしょうね?って。僕はまさにその通りだと思っていて、あの事件の犯人は、はなっからコミニュケーションをとる気なんかなかったんじゃないかなって。障害があってもなくても会話というのはお互いのコミュニケーションで、相手が「あーもううるさいな!」って聞く気をもたなければ聞き流せちゃうことなので。そうすると会話が成立しないじゃないですか。やっぱり会話は大事で「この人を知りたい」という欲求は会話から始まるんじゃないかな。お子さんがおっしゃっていた情報をキャッチするという部分では、犯人はそれをしなかったんじゃないかと思ってしまいます。

また、よく報道で「生産性がない」って取りだたされてしまって…そのような報道の仕方もどうかと思います。確かに国の支出だけを考えたら生産していない事になるかもしれないんですが、その人に障害があってもなくても、生きているという部分では、例えば、ものを食べればそれをつくる農家の収入になったり、コンビニでお菓子を買えばお店の収入になったりして、お金というのは消費するものではなく、常に回っていくものだと僕は思っていて、自分が障害を持っていて何ですけど、その人がいるだけで世の中が動いていくんじゃないかなと思います。施設の修繕でも「修繕費がかかる」じゃなくて修繕すると施工業者に経済が回る。結局国の経済って国の中で循環していくんじゃないか…ということを言う人がいないのなってすごい思ったんですよね。

今、この映画を広げていく活動をさせてもらっている中で「報道ってなんだろう」ってすごい考えてしまいました。もしかして、テレビの企画的に不幸などといったものをテーマにしたほうが数字として成り立ってしまうのではないかと思うのですが、そうじゃなくてこの映画みたいに「このように楽しく暮らしていける」というものを広めてくれればいいなぁって。自分の中で切に、切に願っています。

宍戸大裕監督
【宍戸大裕監督より】
海老原さんや渡部さんは自分で言葉を伝え、意思も伝えていますが、新居優太郎くんについては「彼の『意思』はどうくみ取ればいいのでしょう?」と上映の度に聞かれることがあります。彼は今高校3年生で、4月で4年生になるんですが「進学して本当によかった」と本人もご両親も話していて、去年の2月に大阪で劇場公開があったときには、毎日のように母子でトークをしてくれました。

僕自身も撮影時は優太郎君の『意思』の所在に迷い、もしかしてこれは親の『意思』なのでは?と悩んだりもしました。でも本来『意思』って、全部自分ひとりだけで決めてることではないんじゃないか?とも考えさせられたりして、まあ最終的には「自分が決めた」という形をとることも大事だと思うんですけど、そこに到るまで、色々な人が関わって、みんなで決めたっていうことでも、全然構わないじゃないかなって思うようになりました。この間、担任の先生の手記を読んだんですけど、そこには学校行事での旅行のことがたくさん書いてあって、中でも「行き場所は、優太郎くんが行ける場所という決め方ではなくて、まずみんなが行きたいところ、学びになるところを挙げて、そこへ優太郎くんが行けるようにするにはどうしたらいいかを考えた」とあったのがすごくいいなぁって思いました。

例えば小田さんは北区に住んでてよく飲み歩いたりしてますけど、大きい車いすだとはじめから行ける場所は大型の居酒屋チェーン店とかになってしまうんです。小田さんはそれは嫌なので、狭いお店でもとりあえず行ってみて車いすを入れてみる。それで周りが「こうやったら何とか入れるよね」と工夫してくれる。それでも無理な時は外で震えながら飲んでたりするんですけど(笑)最初から『ここは無理だ』って決めないで「とにかく行ってみる、やってみる」っていう人ですね。

結局一人一人が、その最初の第一歩、一歩というのを出していかないと社会なんていつまでも変わらないんだろうなと思っています。あたらしい映画も今つくってまして、今春には完成予定なのでまた注目していただけるとありがたいです。

-私もこの作品を観て、初めて知った事ばかりの映画でした。まだまだ知らない方がいらっしゃると思うので、これからも色々な方にご鑑賞いただきたい作品です。既にご覧になった方もいろいろな方に勧めていただけたらと思います。また宍戸監督の新作も楽しみです。これからもどうぞ宜しくお願いします。

【関連リンク】
映画『風は生きよという』公式サイト

全国自立生活センター協議会(JIL)
人工呼吸器ユーザーネットワーク 呼ネット
自立生活センター・北
NPO法人ピアサポート・北
映像制作 宍戸大裕ホームページ

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2018年02月13日 | Posted in | | Comments Closed 

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